隠蔽配管のエアコン工事費用は標準工事の2〜4倍になる。副業で受けると赤字になる案件も多い。この記事では具体的な費用相場と、副業で受注すべきか判断する基準を解説する。
隠蔽配管工事とは何か|標準工事との違いを明確にする
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隠蔽配管とは、冷媒管・ドレン管・電線を壁の中や天井裏に通す施工方法だ。外壁に配管カバーが出ないため見た目がすっきりする。マンションの高級物件や注文住宅に多い。
標準工事との違いは大きく3点ある。
- 配管が壁内に埋まっているため、取り外し・再接続の難易度が高い
- 既存の隠蔽配管を流用するか、新規に通すかで費用が大きく変わる
- 施工ミスが起きても、壁を壊さないと確認できないリスクがある
標準工事なら1台あたり約15,000〜25,000円で完結する。隠蔽配管の場合は最低でも35,000円から、条件次第では100,000円を超える。
2026年版|隠蔽配管工事の費用相場一覧
🧹 エアコンクリーニング
費用は「既存配管を流用するか」「新規で配管を通すか」で大きく分かれる。
既存の隠蔽配管を流用する場合
| 工事内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 既存配管流用(エアコン交換のみ) | 35,000〜55,000円 |
| 配管洗浄・フラッシング費用(別途) | 15,000〜30,000円 |
| 冷媒変更対応(R22→R32など) | 20,000〜40,000円 |
新規に隠蔽配管を通す場合
| 工事内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 新規隠蔽配管(木造・単純ルート) | 60,000〜90,000円 |
| 新規隠蔽配管(RC造・複雑ルート) | 90,000〜150,000円 |
| 天井裏・床下経由の長距離配管 | 100,000〜200,000円 |
副業の単価相場についてはエアコン取付副業の単価相場2026年版|標準・隠蔽配管・困難工事別の料金でも詳しく解説している。隠蔽配管案件を受ける前に必ず確認してほしい。
工事費用が高くなる3つの理由
理由1:作業時間が標準の3〜5倍かかる
標準工事なら1台あたり2〜3時間で終わる。隠蔽配管の場合は最低でも4〜6時間かかる。配管ルートの確認・接続部の位置出し・気密テストまで含めると1日仕事になることも珍しくない。
理由2:専用工具・材料のコストが上がる
内視鏡カメラ(配管内の確認用)・フレアツール・真空ポンプ・窒素ガスボンベなど、隠蔽配管に必要な機材は多い。材料費だけで10,000〜30,000円増えるケースがある。工具の初期費用についてはエアコン取付副業に必要な道具・工具の全リストと初期費用の計算を参照してほしい。
理由3:施工ミスのリスク対応コスト
冷媒ガス漏れが起きた場合、壁を開口しないと原因箇所が特定できない。開口工事・補修工事まで含めると追加で50,000〜200,000円の損失になる。この賠償リスクについてはエアコン取付副業の賠償責任保険加入ガイド|事故が起きたときの補償範囲で詳しく解説している。
現場エピソード|18年の経験で見た隠蔽配管の落とし穴
実際に私が現場で経験した案件を紹介する。
築15年のマンション、リビングのエアコン交換依頼だった。既存の隠蔽配管を流用する予定で見積もりは55,000円。ところが配管内を内視鏡で確認したところ、スラッジ(汚泥)が大量に堆積していた。R22冷媒からR32への変更案件だったため、配管の流用はできないと判断した。結果的に新規配管工事に切り替え、追加費用が60,000円発生した。顧客との事前合意がなければトラブルになっていた案件だ。18年の経験から言うと、隠蔽配管の流用案件は「必ず内視鏡確認してから見積もりを出す」が鉄則だ。
配管内の状態を事前に確認せず「流用前提」で受注すると、後から大幅な追加費用を請求することになる。顧客トラブルの原因になる最も多いパターンだ。
副業で隠蔽配管を受けるべきか|5つの判断基準
判断基準1:施工実績は50件以上あるか
標準工事の経験が50件未満であれば、隠蔽配管は受けるべきではない。基本的な真空引き・フレア加工・気密テストを体で覚えてから挑む案件だ。
判断基準2:内視鏡カメラを持っているか
配管内の状態を確認せずに「流用可」と判断するのは危険だ。内視鏡カメラの価格は15,000〜50,000円程度。副業で隠蔽配管を受けるなら必須の機材だ。
判断基準3:追加費用を顧客に説明できるか
隠蔽配管は「開けてみないとわからない」要素が多い。追加費用が発生した場合の説明・交渉ができなければトラブルになる。経験不足の段階では受けないほうが安全だ。
判断基準4:賠償保険に加入しているか
隠蔽配管の施工ミスは損害額が大きい。壁の開口工事・内装修繕まで含めると100,000〜500,000円の賠償請求になることもある。賠償責任保険への加入は副業受注の前提条件だ。
判断基準5:適切な単価で受注できているか
隠蔽配管の副業単価は最低でも35,000円以上が必要だ。それ以下の案件は作業時間・リスクに見合わない。くらしのマーケット等のプラットフォームでは、隠蔽配管の相場が低く設定されているケースも多い。受注前に必ず単価確認が必要だ。
隠蔽配管工事の施工手順と注意点
STEP1:既存配管の状態確認(最重要)
内視鏡カメラで配管内部を確認する。スラッジ・錆・変形がある場合は流用不可と判断する。配管径の確認も必須。古い配管はφ6.35やφ9.52が多いが、新しい機種はφ9.52やφ12.7が必要なケースもある。
STEP2:フレア加工と接続
隠蔽配管の接続部は壁内にあるため、フレア加工の精度が特に重要だ。フレアナットを締める際のトルク管理(φ6.35は16〜18N・m)を守る。締めすぎによるクラックが冷媒漏れの最大原因だ。
一般社団法人 日本冷凍空調工業会が公開している施工基準に沿った作業が求められる。特に冷媒R32の取り扱いは旧冷媒と異なる点がある。
STEP3:真空引きと気密テスト
真空引きは最低30分以上実施する。隠蔽配管の場合、配管長が長いため60分以上の真空引きを推奨する。真空度は-0.1MPa(-1kgf/cm²)以下を確認。気密テストは窒素ガス(1.5MPa)で5分以上保持して確認する。
STEP4:試運転と漏えい確認
試運転中に接続部を石けん水またはガス検知器で確認する。試運転後15分以上の動作確認を行い、冷媒圧力が正常範囲であることを確認してから現場を離れる。
副業収入として隠蔽配管は割に合うのか
単価と作業時間から時給換算してみる。
| 工事種別 | 単価 | 作業時間 | 時給換算 |
|---|---|---|---|
| 標準工事 | 20,000円 | 2.5時間 | 8,000円/h |
| 隠蔽配管(流用) | 45,000円 | 5時間 | 9,000円/h |
| 隠蔽配管(新規) | 80,000円 | 8時間 | 10,000円/h |
時給換算では隠蔽配管のほうが高く見える。しかし材料費・移動費・リスク対応コストを引くと実質の手取りは下がる。ミスが発生した場合の損失が大きいため、経験が浅い段階では積極的に取りにいく案件ではない。
副業全体の収入シミュレーションについてはエアコン工事の副業で月にいくら稼げる?現実的な収入シミュレーションで詳しく解説している。隠蔽配管を含めた月収の試算も参考にしてほしい。
失敗事例から学ぶ|隠蔽配管で副業が赤字になるケース
過去に起きた典型的な失敗パターンを3つ挙げる。
失敗1:冷媒漏れ発生で壁開口工事が必要になった
フレア接続の不良が原因。壁の開口・修繕費用で150,000円の損失。工事費35,000円の案件で赤字115,000円。
失敗2:配管径の不一致で機種交換に
既存配管がφ6.35だったが新機種がφ9.52を要求。事前確認を怠り、配管の流用ができなくなった。追加工事費50,000円を自己負担。
失敗3:ドレン配管の勾配不足で水漏れクレーム
天井裏のドレン配管の勾配が1/100に満たなかった。水漏れで内装にシミが発生し、補修費用80,000円を請求された。
これらの失敗事例の詳細はエアコン取付副業で失敗した事例と対策|冷媒ガス漏れ・コンプレッサー故障でも解説しているので確認してほしい。
よくある質問(FAQ)
Q. 隠蔽配管の工事費用の相場はいくらですか?
A. 既存配管の流用なら35,000〜55,000円、新規に配管を通す場合は60,000〜150,000円が相場です。建物構造(木造・RC造)や配管ルートの複雑さによって大きく変わります。事前に内視鏡確認をしてから見積もりを出すことが重要です。
Q. 副業初心者でも隠蔽配管工事を受けられますか?
A. 標準工事の施工実績が50件以上あることが最低条件です。それ以下の経験では、フレア加工のミスや気密テストの見落としで冷媒漏れが発生するリスクが高い。まず標準工事で経験を積んでから挑むことを強く推奨します。
Q. 既存の隠蔽配管は必ず流用できますか?
A. 流用できないケースが多くあります。主な理由は①配管内のスラッジ堆積、②配管径の不一致(旧機種φ6.35→新機種φ9.52)、③冷媒変更(R22→R32)による材質の非対応、の3点です。内視鏡カメラで事前確認してから判断することが必須です。
Q. 隠蔽配管工事でガス漏れが発生した場合、費用はどうなりますか?
A. 壁の開口工事・補修工事・冷媒再充填まで含めると50,000〜200,000円の追加費用が発生します。施工者の責任となるケースが多いため、賠償責任保険への加入は必須です。保険未加入の状態で受注するのは非常に危険です。
Q. 隠蔽配管工事に第二種電気工事士の資格は必要ですか?
A. 室内機の電源接続・コンセント工事が含まれる場合は第二種電気工事士以上の資格が必要です。冷媒配管のみの接続作業は資格不要ですが、総合的なエアコン取り付け工事では電気工事士資格がなければ対応できない工程が発生します。詳細はエアコン取付の副業に必要な資格を確認してください。
✍️ 著者プロフィール
電気工事士歴18年。大阪を中心に年間200件以上の電気工事を担当。第一種電気工事士・認定電気工事従事者の資格保有。現場で得た実体験をもとに、電気工事に関する情報を発信しています。